経理マンが独立して名古屋でデザイン事務所を設立できた訳(6)

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僕が働いていた上前津のカフェ。今は美容院に変わっています。

 

無事職場復帰して少し安定するかと思いましたが、最初は家族に借りていたお金や、滞納した家賃や水道高熱費を返すのが大変でした。

復帰してからも旅行代理店から仕事を頼まれたり、知り合いに頼まれたりすると作業をしてギャラをもらったりしていました。その時から、そのお金はデザイン事務所として独立する為に使おうと思い、そのためになる事にだけ使おうと決めました。カメラを買ったり、パソコンを買ったり、専門学校の月謝にしたり、機材を買ったり、とにかくそういうものにお金を使っていました。

会社では通販を立ち上げたばかりで、仕事はたくさんありました。夜中まで仕事をしたり出張で色々な所へ取材に行ったりと、とても充実していました。機材も当時で一番良かったpowermacG5とか、大判プリンターも入れてもらったり、すごく恵まれた環境で仕事をしていました。

充実した毎日を過ごしながら、結婚したり、独立準備のために緑区から今すんでいる東区に引っ越しをしたり、自宅に事務所を作ったり、頼まれた外の仕事をしたり、ケータリングを始めたり、休みも本当に忙しかったです。ずっと仕事のことを考えて生活していたのを覚えています。

事務所に大型プリンターを入れてインフラも整い、いよいよ最終段階に入りました。準備から約5年以上経過していました。結局その後に会社に独立を告げて、今から2年前に創業しました。

細かい話が聞きたい方は直接お酒の席ででもお話出来たらと思いますが、僕が独立をする時に考えていたことをちょっとまとめて行こうと思います。

独立したいと言っている人に今までもたくさんお会いしていますが、やっぱり出来る人と出来ない人は明確に分かれているなと思います。特にデザイン業界はそうだと思いますが、一人でやっている人はちょっと変わった人が多いです。僕も含めて、悪く言うと社会不適合な人が多い。よく言うと、世間に惑わされずに自分の幸せの定義を明確に持っていて、それに向かって頑張っている人が多いと思います。でも、独立したから偉いとかそうでないとか、そういう優劣は付くものでないと思っています。みんなそれぞれです。

何も準備をせずにスタートするひとも色々見てきましたが、そういうのはほとんど続いてないです。正直、5年準備してその間に学校とか必要な物を買ったり、出かけたりして使ったお金は覚えているだけで500万くらいあります。いくら昔よりもデザイン事務所は投資が要らなくなったとはいえ結構お金はかかります。

  • 専門学校 130万円
  • 撮影などの機材 約150万円
  • パソコンなどの機材 100万円
  • 書籍 50万円
  • 中古のプリンター 20万円
  • デザイン用ソフトなど 30万円
  • 打ち合わせスペースの為の家具など 20万円

ひょっとしたらもっとお値打ちに始められるかも知れません。でもインフラも整っていないようなところに仕事がくるはずがありません。お客がいるならお店をだそうかなと言っている人には一生お客なんてこないと思います。やっぱり最初にリスクを負うのは当たり前で、それでも仕事があるのか無いのか分からないので、ソワソワしたりします。でも駄目になったらまたリスタートすればいいやという気持ちもありつつ、絶対にそうなりたくないと思って仕事をしています。

同業者の人で「俺は芸大行ってないから駄目だ」とか、デザインの仕事をしたいって言っている人でもそうやって言っているのを聞いた事あります。なんだかデザイン→芸大卒→デザイン事務所 or 代理店勤務→独立 みたいなのがセオリーだと思っている人が多いですが、知っている限りそうでない人もたくさんいます。僕は 高校卒業→経理をやっているサラリーマン→飲食店→企業のインハウスデザイナー→独立 でした。よくわからない経歴でも、準備中に一つだけ負けなかったなと思うことがあります。それは「一人で頑張ってやってみたい!」という気持ちが人一倍強く、ずっと想い続けました。だからちょっと嫌だなと感じた日常も頑張れたし、我慢して目の前のことを一生懸命やろうと努力しました。

隣の人は何だか出来ているように見えて羨ましく思えることはたくさんあるかも知れませんが、そんな事をしても意味が無いと思います。それよりも目の前の課題をクリアすることの方が大切です。僕もこれからもっと色んな課題にチャレンジしていかなきゃいけないと思って、ちょっとうんざりする時もありますが、それでも一つずつクリアしていくしか無いかなと思って、もっと頑張ろうと思っています。

独立したいと思っている人にこれだけは言いたいのですが、

「やった人にしか見えない世界があるし、それを感じた時に本当に幸せな気分を味わえる」

ことは覚えておいてほしいです。仕事の大小関係なく、自分でやり遂げたというその「感覚」は、とても格別で幸せなものだと思います。苦しくてもそれ以上に楽しい世界です。

このブログが少しでも独立したいと思っている人の励みになればいいなと思います。次回からはもうちょっと突っ込んだ話もしていけたらいいなと思います。

 

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経理マンが独立して名古屋でデザイン事務所を設立できた訳(5)

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