デザイン事務所と地域おこし協力隊の話


4年前くらいに三重県松阪市の嬉野という場所に古民家を買いました。
そこで何か地域の仕事を作れたらと思って食品加工場を立ち上げて、行き来しながら仕事を始めてみたものの、様々な面でトラブルが起きて今年そのプロジェクトは終わらせました。

ブログなどに色々と載せていたので、直接会った人には細かい話などをしていましたが、「よくトラブルに巻き込まれているよね」と言われて、そういう風に見えるのかと気がつきながらも「何かをやるのには摩擦は付き物だ」くらいにしか思っていませんでした。

建物を購入してから4年後に松阪に移住しましたが、実は思っていたよりも早かったなと感じているのと、地域おこし協力隊をやるのは当初想定しているものではありませんでした。

地域おこし協力隊をやろうとした理由


まず、地域おこし協力隊というものを知らない人もいると思うので、説明しておくと詳しくは総務省のホームページに書いてありますが、「地域おこし協力隊は、都市地域から過疎地域等の条件不利地域に移住して、地域ブランドや地盤産品の開発・販売・PR等の地域おこし支援や、農林水産業への従事、住民支援などの「地域協力活動」を行いながら、その地域への定住・定着を図る取組」で、地域との関わりを持って、条件が不利な地域の様々なバックアップを行うプロジェクトです。

地域おこし協力隊として活動する前までは、名古屋でデザイン事務所をやっていました。このデザイン事務所としてのプロジェクトももちろん継続して行っていますが、9年間続けてきて周りに同じ仕事をしている仲間も増えて、作ったものが店頭に並んでいたり、雑誌の取材を受けたり、好きだった飲食の仕事を事業化できたりと、色々と充実していた気がします。

でも続けていく中で、今まで調子が良さそうだった会社が急ブレーキを踏まざる得ない状況になったり、仕事が無くなってフラフラしている人を見たりしているうちに、この居心地の良い環境がいつまで続くのだろうかと不安を覚えるようになりました。

そこそこ使えるお金が増えて自由を手に入れて、でもそれを維持していくのには衰える体力を感じながらも仕事を続けていかなければならない。それが果たしていつまでやっていけるのだろうかと、いつの間にか真剣に考えるようになりました。

そんな中で自分の仕事をフォローしてくれる仲間探しももちろんだけど、プライベートでローカルコミュニティにあまりにも参加していない自分に気が付き、それでいいのだろうかと疑問に思うようになり、これから歳を重ねても楽しく暮らせるように地域に参加しないと孤立してしまうのではないかと感じました。
時代もどんどん変化して来ているのを肌で感じて、生活コストがかからない地方に移住した方がリスクヘッジ出来そうだし、うちの奥さんの実家が松阪だったこともあり、移住することを決意しました。

そんな想いもあって古民家の購入に至り、そこで知り合った行政の方たちとコミュニケーションを重ねていくことで地域おこし協力隊の存在を知り、やってみませんかという話から、ちょっとやってみようかなと思ったのがきっかけでした。

僕が地域を変えてみせる!という熱い思いがあったのではなくて、色々なプロセスが重なって今があります。だから「変えてみせる!」ではなくて、みんなで課題を乗り越えていきたいし、そのために今までやって来たことが活かせるのだったら尚良いな。と考えています。

 

条件不利地域には日本の未来の課題が詰まっている


田舎の問題は都会とは別の話だと、松阪に移住する前までは思っていましたが、少子高齢化や空き家対策、高齢者の孤立などは田舎の問題ではありません。実は都会だけでなくて世界の問題でもあり、リサーチャーが日本の限界集落をリサーチして自国の課題解決に活かそうという取り組みがある話も最近聞きました。

僕たちが関わっている古民家をリノベーションしてオフィスに変える取り組みも、都会で応用可能で、今あるものを活用して地域やコミュニティの価値を上げていくために必要なトライだと感じています。

ロングタームで考えた取り組みを今から始めていくことは、これからの自分の生活を豊かにしたり安定させるためにはとても重要で、そのためには今見え始めた課題がすぐに問題にならないとしても、問題が小さいうちに解決に向けて取り組んでいくことはとても大切なことです。

では何から始めればいいのか?と僕も松阪市に来るまでは悩んでいましたが、まずは地域に参加してみることが一番の近道だと思います。自分1人で出来ることなんて限られている。だからこそみんなで何かをやる大切さを実感するのが一番。
そこで社会を感じることができると、例えば僕たちのようなデザインを仕事にしている人だとしたら、もっと俯瞰して色々なものを見ることができるようになるし、そうすることによってより仕事の幅も広がっていくのではないのかなと思います。



和室にカーペットを敷いてmacをおいたワークスペース


僕の仕事場所は寝室の一角にデスクを置いた場所。
名古屋ではテレビ塔から車で5分という好立地で仕事をしていましたが、こちらでは温泉のある道の駅「飯高駅」まで車で2分。違う意味の好立地な場所に移転しました。最初はどうなるんだろうかと思ったけど意外に仕事はできるもので、撮影などがある時以外は地域に出かけたり、家で仕事をしていたりという感じで過ごしています。

標高が少し高いので名古屋よりも少し寒い気がしますが、空き家バンクでお借りした平家の一軒家がライフスタイルに合いとても快適だったので、不自由なく暮らしています。



見える景色も変わり、気持ちにも少し変化が出て来た気がします。
来週の金曜に名古屋のオフィスは引き払います。名古屋から名古屋を見るのと、松阪から名古屋を見るのではきっと違う見え方がすると思います。自分がどう変わっていくのか自分でも楽しみです。流れに身を任せて過ごしていきたいと思います。

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