よく分からないと言われて気がついたフードデザインの可能性


昨日、デザインの打ち合わせで訪問した会社で、ウェディングケータリングの話をしていました。
 
色々話していたのですが、シェフが料理をしていてパティシエがケーキを作るのは分かるけど、ディレクター的に動くフードデザイナーとしての僕の役割が、外側から見ると正直分からないという感じでした。
 
パートナーのシェスギさんのところにも年末くらいから、レストラン同業者の方からどうやってやっているのかと、問い合わせの電話がかかって来たりしているそうです。それも一件ではなくて数件も。実際に中身の仕組みを聞くと「ウチでは無理だなぁ、できないなぁ」とみんな諦めてしまう感じだそうです。
 
この今までの枠組みから外れて、何をやっているのかが分からないと言われるところに新規性があると自分で勝手に思っているのですが、思えば10年前くらいにmacでデザインしながら写真を撮ろうとしたら「中途半端。デザイナーがカメラを持つべきでない。ありえない」と面と向かって言われたけど、今はそういう人も結構います。ありえないことがありえる世の中になりました。
 
今回も他のレストランから見て「何やっているかわからない感」が出ていて、問い合わせが来る事はとてもいいことだと感じています。枠組みから外れていることは、僕たちのチームが新しい価値を提供でき始めているのだと自信を持っていいのではないかと感じています。
 
今までのケータリングの定義は、出向いて「食事」を配膳、提供することでしたが、僕たちのチームが提供したいと思っているのは「食事」もそうだけど、食事に関わる周りの環境なども一緒に提供すること。
 
だから、ウェディングのミーティングでは新郎新婦さんの声をくみ上げるために、決裁権限者(僕)が直接出向いて話をお伺いするし、ペーパーアイテムが必要だったら作るし、空間のライティングをやったりもするし、音楽をセレクトして機材を持ち込んでBGMもデザインする。
 
要は「食の周りにあることも含めてデザインすること」ができるのが、一般的なケータリングとは違う部分。プランナーさんが困っていることで、たとえ困っていることが食事の提供以外でも、僕たちができることには積極的に関わる。ホスピタリティに関わる部分をクライアントさんだけでなくて、プランナーさんなどにも提供できるといいなぁと思っています。
 
前はありえないと言われると、ついつい反発していたのですが、最近はこの「ありえない」という言葉にはとても可能性があると思うようになりました。
 
「ただレストランに料理をオーダーして持って行っているだけでしょ。」と言われれば言われるほど、僕たちがやっているフードデザインに可能性を感じます。今までの定義から外れていて理解されなくても、ビジネス的に成立しているということは、間違っていないということ。
 
今までの仕組みから違う仕組みを考えるのではなくて、シンプルにニーズを捉えて形にできると新しいサービスを作り出すことができることが分かって来ました。僕たちチームもそこから生まれる可能性にもう少しチャレンジしてみたいと考えています。

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