旅する、千年、六古窯/丹波へ出かけました。

2019年1月21日 at 16:26


「旅する、千年、六古窯」。素敵な名前の企画だなあと思っていたのですが、僕自身も器に興味があるので、丹波焼というものに直に触れてみたいという思いもあって、デザイナーの高橋さんからのお誘いで、丹波篠山まで出かけてきました。
 

町の雰囲気は人は作り出す

 
高橋さんは常滑を拠点に、6箇所の地域をこのイベントで関わっておられて、年も同じだし本当にすごいなぁと思っていたのですが、イベントも丹波焼をはじめ、他の窯元のこともとてもわかりやすく作品で魅せてくれて、六古窯のことを全然知らなかった僕らでも、とても楽しめる内容でした。
 
焼き物というのは元々はその土地の土で、その土地に存在するニーズに合わせてものづくりが行われてきているのですが、現在では材料自体も流通の発展で移動するし、その土地の特色というものがなくなりつつあるものだと思っていましたが、丹波などの産地は、商社が他所から町に入ってきておらず、組合が商社の役割を果たしていた。そのシステムが機能しているから、町自体も仕組み的に変わる必要がなくて、そのままの雰囲気で残っているそうです。内側と外側に適度な壁があって、結果ものづくりに集中できる環境があったのかと思うと、とても興味深い。
 
このイベントに登壇されていた丹波焼の今西さんもとても柔軟な方で、焼き物の話になるとピリッと目つきの変わるところとか、話が尽きないところとか、とても魅力的な方でした。こういった職人たちが作り出している地域の雰囲気というか、職人さんたちがこのいい町を作り出しているんだなぁと思うと、丹波という町はとても魅力的でもう少しゆっくりと来たい場所だなと感じました。
 

 

内田鋼一さん所蔵の白丹波など

 
今回のイベントではゲストに四日市より陶芸家の内田鋼一さんがお見えになっていました。内田さんも白丹波が好きということで、特別展でご自身の作品に合わせて、所蔵の白丹波を披露されていました。
 
白丹波については、諸説あるのだと思いますが、歴史背景などを考えても、なぜこのような高度で面倒な焼き物を焼く必要があったのかが明確にわからないのだそう。とても複雑で難易度の高い工程があのような経年劣化にも耐えられる、素晴らしいデザインを作り上げるのだと知り、僕自身もとても白丹波が好きになりました。丹波焼きというのは、量産品というよりも職人が一つ一つ作り上げ、積み上げてきた歴史が今でも続いているものだと、とてもよくわかりました。
 


 


 
 

 

丹波に移住したオーナーの店で、
地元の料理人が料理を作り、職人が焼いた器にのせる

 
食というものは、空間で器に料理を盛り込み初めて完成する。全てにこだわり提供されたなら、それはきっと素敵な時間を過ごすことができるだろう。
 
イベントの最後に催されたトークイベント+食事会。職人さんを交えて色々な話題に花を咲かせる。たまたま僕たちの前に内田鋼一さんが座られたので、内田さんからもとても楽しいお話を聞くことができました。内田さんの周りには地域の陶芸に関わる方達が色々な話や意見を聞きに訪れる。やっぱり共通点がある人たちが集まって意見交換できる場というのはとてもいいなと思いました。若い世代の方達がこれだけ集まり、空間を作り、食を楽しんでいる姿を見て、多分ここまでたどり着けた過程には色々あったんだろうなと思いました。
 
でもこれからがスタートなんだろうし、僕たちにできることって何があるのかなと考えてみたけど、やっぱり一番いいのは、自分の暮らしに心のこもった器や道具を取り入れること。みんなが普段の生活に心のこもった器や道具を使うことで、心が豊かになることを自分自身が体験して、実践して行くことなんだと思いました。
 

豊かさを知ること

 
歴史的には職人の手仕事は時間がかかるから、高価になる。だから手仕事を暮らしのベースに再び浸透させる事は不可能と繰り返し言われている。
 
伝統的な職人芸を見直し、芸術的な手仕事による美しい日用品や生活空間をデザインして供給することで、人々の生活の質を向上させる「アート&クラフツ運動」なども、あくまで暮らしに潤いを持たせる趣味の品という位置にとどまり続けると言われてきました。
 
歴史を眺めると、アート&クラフツや民藝運動などが繰り返し起こり、人は効率とそうでないものを天秤にかけてすごしてきた。そうやって進んだら戻りを繰り返して私たちは日々暮らしていて、行ったり来たりしながら、これからの新しい価値を探している。
 
やっぱりこれだけ物質的にも豊かになり、恵まれている我々からすると、値段だけでない価値を見つけることが大切な気がしています。手作りのものを手にすると、作った人の人生だったり考え方に触れることができる。
 
街やアミューズメントパークももちろん楽しいのですが、僕自身はこうした六古窯のような場所に行って、職人の方の考えに触れて、自分自身の生活のことを考えてみたい。
 
産地に訪れるということが、映画に行くように生活に潤いを与えるきっかけになるといいなぁと思いますし、そうなるように、僕自身も何かできることがあれば積極的に関わって行きたいと感じました。
 
DATE : Sony a7s / Vario-Tessar T* FE 24-70mm F4 ZA OSS