地域おこし協力隊とデザイン事務所を両立させながら考えていること

名古屋市から松阪市に移住してもうすぐ1年半。
松阪の生活にも随分慣れてたけど、会社移転というのは結構大変で、金融機関さんとの取引について色々と変えないといけないこともたくさんあって、会社移転の手続き自体はまだまだ続いている感じです。

実際に移住してみて、本当に自分の仕事を持ちながら協力隊の仕事が出来るのかは少々不安でしたが、この1年間でだいぶ見えた部分もあって、折角なのでこれから協力隊になって何かをやりたいと思っている人たちに参考になるような記事を書こうと思います。

デザイン事務所をやりながら、松阪市の地域おこし協力隊を両立している現在

まず大前提として、地域おこし協力隊が他の仕事をしていいのか?という部分については自治体によって違うので、行きたい場所の協力隊が「複業可能なのか?」や「雇用形態がどうなっているのか?」といった、企業で言う「就業規則」についてきちんと把握しておく必要があります。協力隊をやりながら自分の将来を考えて行動する際に、この規則がどうなっているのかがとても重要なので、まずはそこを把握してください。

松阪市については、委嘱(特定の仕事をひとにまかせ頼むこと。)という形で雇用関係はないので、市役所職員という立場ではなく、募集要項に記載してある特定の仕事を任されるということになります。ただ地域の方から見た場合、協力隊=行政のスタッフという見え方になるので、ある程度行政の立場も考えて自分のことを行う方が、自分にとっても色々スムーズだと思います。雇用関係がないから関係ない!という態度で地域に入ると地域の方が混乱するので、そこは自分のためにも「地域からどう見られているのか?」をある程度考えながら活動するのがいいと思います。

松阪市では毎月16日以上、1日8時間程度の活動を行うのが条件

松阪市の地域おこし協力隊は活動ミッションを松阪市から委嘱されて活動しますが、だいたいの目安となる日数や時間があります。実際に毎月の活動を日報管理して、毎月「地域おこし協力隊連携会議」というものが開催されて、活動内容の報告、質疑、共有事項の連絡などを行い、行政職員の方達と日々連携しながら活動を行なっています。

上の画像は僕の今週のスケジュールです。
黄色い部分が協力隊の活動時間で、赤い部分が自分の仕事の予定です。大体どの週もこんな感じですが、毎日打ち合わせや地域活動など色々な行事に参加したり、進めているプロジェクトの仕組みづくりをしたり、今は食堂の立ち上げの打ち合わせや申請業務を行なったりなど、分刻みのスケジュールをこなす毎日です。

結局のところ、デザインの制作業務は早朝と夕方に帰ってきてからという電話やメールが頻繁に来ない時間帯に行い、日常は地域おこし協力隊の活動を行ないながら、空き時間に自分の仕事のメールを返したりチャットを返したりという、タイトな時間の使い方になっています。

綿密なスケジュール管理と、隙間時間をいかに効率よく使うのかがカギな気がします。

デジタルツールも駆使して様々なデータを管理

僕はスケジュール自体を全てクラウドで管理していて、自分の頭にあまり入っておらずイベントごとにiphoneでアラートが鳴るようになっていてその通りに動いています。スマホが秘書の代わりをしているイメージです。メールはGmailで見なくてもいいものは勝手に分別されて、処理が終わったらアーカイブするので、受信箱が空になったらボールを持っていないというわかりやすい管理方法をしています。

顧客データはsalesforceで管理されていて、管理画面からやコミュニケーションの履歴やメールが開封されたかどうかなどもチェックしており、地域でたくさんの人たちに会う情報も全て顧客管理データとして保管されています。

製作中のデータはクラウドで保管されて、どこからでもアクセスできるようになっていて、固定のIP電話は不在連絡をメールでお知らせする仕組みにもなっています。

  • スマホでスケジュール管理(組織内で内容を共有)
  • Gmail(有料)でメールを効率的に分類
  • 顧客情報はsalesforce(Sales Cloud – Professional Edition)で管理
  • 作業中データはdropboxで管理
  • データ管理はTerraMaster D8&D5 の2台でRAIDでバックアップ、動画編集用のSSDも一元管理
  • 全ての紙資料はスキャンしてデジタル化。地域でもらった資料などは全てipadで閲覧可能

小さい事務所の割にはデジタルツールのインフラが整っていて、非常に快適な作業環境で仕事をしています。ある程度どこにいても仕事が進むような仕組みづくりを考えています。

古き良きも受け継ぎつつ、新しいことにもチャレンジしていくことの大切さ

少子高齢化がどんどん進んでいる地域では、やっぱり色々な社会的インフラの面で不利な状況が出てくるのは当たり前で、その中で地域おこしをどうやっていくかを考えた時に、今までと同じ手段で活動していても状況は良くならない。全てを過去の取り組みに戻そうとしたりするのでは、やっぱり維持や発展が難しいと思っています。

昨年田んぼ作業を行った際に「これはエクササイズだな」と思って、田んぼのことを聞かれると「農園エクササイズ」だと言っていたのですが、食べるための「農」はもちろんなんだけど、それ以外の目的があってもいいじゃないかと思ったりもします。農業も地域おこしも少し視点を変えて行うと、新しい発見が生まれたりアイデアが生まれたりするのかなと考えています。

コロナ禍がきっかけに私たちが住む地域にも都会から移住してくる人が出てきていて、この流れは進んでいくのかなと考えています。人口密度が低く自然が多い場所はやっぱり快適なので、仕事がそのまま続けられるなら移住したいと思う人が出てくるのは当然の流れ。ただこれから「住む場所が見つからない」という問題が出てくる気もしていて、やっていきたいのは、移住したい人たちをフォローする体制づくりや、その人たちが新しいチャレンジをするための土台づくり。

現在進めている民泊食堂のプロジェクトは古民家活用のモデルになるだろうし、若い世代の子達と取り組んでいる場づくりの拠点にもなるだろうし、関わる人たちにとって大切な場所になることは間違いない。まずは一つずつ実績を積み重ねていくことが今僕が出来ることなんだろうと思います。

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